交通事故

交通事故によるむち打ち基礎知識|治療、慰謝料、後遺障害認定

交通事故によるむち打ち基礎知識|治療、慰謝料、後遺障害認定

「むち打ち」とは、交通事故による衝撃などで首に不自然な強い力がかかったことによる首の捻挫のことです。
衝撃を受けた時に、ちょうど鞭がしなるように首が動くので「むち打ち」と呼ばれています。

むち打ちは医学的な傷病名ではなく、診断書には「頸椎捻挫(又は頸部捻挫)」や「外傷性頚部症候群」と記載されることが多くなっています。

ここでは、交通事故でむち打ちになった場合の対処法に関する基礎知識について説明します。
事故直後の受診・通院の際の注意点・後遺症が残ってしまった場合の対応に気を付ければ、受け取れる賠償金が多くなる可能性があります。是非参考にしてください。

1.事故直後の受診

事故後、痛み(首の後ろ、前部、側面、頭部、頚椎、腕)、凝り(首、肩、背中)、動かない(首が回らない、動かすと痛い)、めまい、吐き気といった症状を感じた場合、早急に整形外科を受診しましょう。

他方で、事故直後は興奮状態にあり、痛みを感じる感覚が麻痺している場合もあるため、事故当日に上記のような症状を自覚するとは限りません。
事故翌日、翌々日に上記のような症状を感じることもあります。

そうした場合も、早急に整形外科を受診してください。

整形外科を受診するまで日にちが空いてしまうと、上記のような症状を訴えたとしても、「交通事故によって負った傷害による症状ではない」と判断されてしまう可能性があるので、注意してください。

また、整形外科を受診した際は、必ず、医師に対し、「何月何日、どのような事故に遭って発生した症状であるか」を伝えてください。

医師は患者の訴えを診療録(カルテ)に記載しているので、後々事故によって負った傷害による症状ではないと争われることや、事故の態様について争われることを防げる可能性があります。

【接骨院や整骨院への通院は要注意】
むち打ちの被害者の方の中には、整形外科だけでなく、接骨院や整骨院に通いたいという方がいらっしゃいます。しかし、接骨院や整骨院は、施術を行うのが医師ではない(柔道整復師)ため、保険会社や警察へ提出する「診断書」を作成してもらえません。このため、初回の通院は必ず整形外科にする必要があります。
また、病院での治療でなければ、施術費用について加害者側が負担すべきか否かの争いが生じてしまう可能性が高いです。
「治療」ができるのは医師だけですので、接骨院や整骨院に通いたいのならば、整形外科などの医師の同意を得た上で、同時に整形外科への通院も続けてください。

2.通院頻度・通院期間

初回の受診後は医師の指示に従って通院を続けることになります。

交通事故の被害者となった場合、怪我の入院費や治療費・通院交通費は当然加害者側の保険会社が支払ってくれますが、これとは別に、怪我をして入通院を強いられたことに対する精神的損害(慰謝料)も請求できます。

この慰謝料は、原則として通院期間や通院日数を元に算出されます。よって、適切な期間に適切な頻度で通院を行うことが、納得のいく損害賠償額を受け取るために重要です。

ケースによって異なりますが、大体週に2回以上、月に10日ほどの通院が必要でしょう(もちろん、無理矢理通院期間を増やすことは厳禁です)。

しかし、相手方任意保険会社としては、できる限り支払う治療費や慰謝料を抑えたいという意向があります。
そのため、ある程度治療を継続していると、相手方保険会社が「もうそろそろ完治したのではないですか?」「今月一杯で治療費の支払を打ち切ります」といった連絡をしてくることがあります。

むち打ちの場合、事故から2〜3か月程度でこのような連絡をしてくるケースが多いようです。

むち打ちは、受傷原因や外傷程度により症状はさまざまで、治療方法や期間は多岐にわたります。
そのため、保険会社から打診されたからといってそれを鵜呑みにせず、医師と相談し、必要と診断されるならば治療を継続してください。

仮に治療費を打ち切られてしまった後に自費で支払った治療費であっても、必要なものであったと認められれば後から保険会社に請求することが可能です。

3.後遺症が残ってしまった場合

むち打ちが残念ながら完治しなかった場合(後遺症が残ってしまった場合)、後遺障害の認定を受けることで、後遺障害が残ってしまったことに対する後遺障害慰謝料や、将来の収入が減ることに対する賠償である逸失利益を受け取ることができるようになります。

後遺障害慰謝料と逸失利益の金額は、後遺障害の部位や受傷の程度によって分けられた「等級」によって決まります。
むち打ちの後遺障害が認められる場合、その等級は14級又は12級になるでしょう。

交通事故とむち打ち|むち打ちに係る後遺障害認定基準と慰謝料額

[参考記事]

交通事故とむち打ち|むち打ちに係る後遺障害認定基準と慰謝料額

より重い12級の「局部に頑固な神経症状を残すもの」の基準は、「症状が神経学的検査結果や画像所見などの他覚的所見により、医学的に証明できるもの」とされています。
すなわち、 MRI画像等で異常所見が見当たれば12級が認められる可能性が高まります。

しかし、問題となるケースの多くは「MRI画像等で異常所見が見当たらない場合に14級に該当するか否か」ということです。

一般的に「事故態様が軽微である」「医療機関への通院実績が乏しい」「症状が一貫・継続していない」「症状が重篤でない」「画像所見・神経学的所見に乏しい」といった点で、14級にさえ該当しないと判断されてしまうことが少なくありません。

14級は後遺障害等級の中でも最も軽い等級なので、これが認められないとなると、後遺障害慰謝料と逸失利益が1円ももらえないということになります。

正しい後遺障害等級の認定のためにも、以下のことにご注意いただくことが大切です。

  • 整骨院や接骨院のみの通院を行わない
  • 通院の度に医師へ痛み等を十分に申告する
  • レントゲンだけでなく、MRI検査も要請する
  • スパーリングテスト、ジャクソンテスト、腱反射を調べる検査の実施を要請する
  • 申請書類について、弁護士のアドバイスを受ける

4.交通事故でむち打ちになってしまったら弁護士へ

むち打ちは、交通事故で負う可能性が最も高い怪我であるにも関わらず、その治療において保険会社とのトラブルが多く、後遺障害認定も受けにくいという特徴があります。

交通事故に強い弁護士に依頼すれば、この点、治療段階からアドバイスが受けられるだけでなく、保険会社との交渉を一任できますし、正当な後遺障害等級認定を受けられるよう様々なサポートを受けることも可能です。

治療が終了し、賠償金額の算定ということになれば、弁護士に委任することで慰謝料を増額できる可能性もあります。

交通事故によるむち打ちの示談交渉は、泉総合法律事務所へ是非一度ご相談ください。

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