債務整理

FXで借金を作ってしまったときの自己破産

まだ若くて独身なのにFXで借金を作ってしまったときの自己破産

「社会人になって収入も増え、華の独身のため金銭的余裕もできたということで、ちょっと投資をしてみよう。ネットでも話題だし、楽に一気に儲かるらしいし…」というような流れで、軽い気持ちからFXに手を出す若い方が多くなっています。

しかし、お金を注ぎ込んでいくうちにサラ金や友人からの借金が雪だるま式に膨らんでしまった、または、ロスカットが間に合わず突如目が飛び出る金額の請求が証券会社から来てしまった……そんな悲劇は珍しくありません。

多額の借金を抱え込むと、会社にバレるのではないか、これからの人生終わりではないか、と不安になる方もいるでしょう。
その一方で、「到底返し切れないので破産したいけど、投資で作った借金は破産できないと聞いたことがあるから、どうしようもない」と考えている方もいるかもしれません。

確かに、必要な生活費のためにやむを得ず借金をしてしまった人ならばともかく、投資(つまり金儲け)目的で借金を重ねた人にまで借金の免除を認めてよいものか?という疑問が出てくるのは当然です。

しかし、実際の破産の事案では、たとえFXによる借金であっても、、最終的には借金の免除を認めてもらえることがほとんどです。

このコラムでは、FXで借金を負ってしまった方の中に、自己破産手続の方法や注意点を説明します。

1.自己破産手続の基本

自己破産手続は、裁判所から借金の免除の許可を受けることで、金銭支払義務(つまり借金)を全額免除してもらえる債務整理手続です(税金や養育費などの一部の例外を除く)。
裁判所の許可を受けられれば、サラ金からの借金はもちろん、ロスカットが間に合わず生じた証券会社からの請求も、纏めてゼロにすることができます。

その代わり、破産手続では、債務者が現在所有している一定以上の財産は処分・換価され、債権者へ平等に配当されます。

FXをされていた方は、株式や投資信託による資産運用もされているかもしれませんが、破産手続を開始した時点で保有している株式等は全額没収です。また、FX取引により保有している外国の通貨も、株式同様に処分対象となります。

自己破産手続により借金の支払義務が無くなることを「免責」と言い、裁判所が免責を決定することを「免責許可決定」と呼びます。

自己破産の手続の流れには、「管財事件」と「同時廃止」という2つの手続があります。

まず、債権者へ配当可能な財産がある場合や、原則として借金免除できないと法律上定められている事情である「免責不許可事由」がある場合には、配当処理や免責不許可事由の調査を行なう破産管財人が裁判所によって選任される、「管財事件」の手続が用いられます。

他方、破産管財人を選任するまでもない場合=債権者へ配当する財産がなく、かつ、免責不許可事由もない場合には、手続を省略した「同時廃止」の手続により自己破産手続が行なわれます。同時廃止では、破産管財人は選任されません。

FXで借金をしてしまった場合は、後述する通り、免責不許可事由の一つであるギャンブルによる借金があると判断されるため、ほとんどの場合は、管財事件で手続をすることになります。

管財事件では、破産管財人への報酬として、20万円から50万円ほど申立の時に納める必要があります(これは、代理人の報酬とは別に準備が必要なものです)。

また、管財事件において、最終的に免責が許可されるか否かは、破産管財人が調査結果を踏まえて裁判所に出す意見の中身で事実上決まるので、破産管財人への対応(管財人の調査への協力等)に注意しなければなりません。

2.FXによる借金も自己破産可能

「FXによる借金は自己破産できない」という噂を聞いたことはありませんか?

確かに、FX取引に限らず、パチンコや競馬などのギャンブルが原因である借金は、法律上の「免責不許可事由」に当たり、こうした事由に抵触する場合、破産法では、原則として免責は認められないものとされています。
高いレバレッジを利用するFX取引は、ギャンブルと同じ評価をされてしまっているのです。

しかし、実際の事案では、免責不許可事由のある債務者のほとんどが、最終的に免責の許可を受けています。

その理由は、破産法には、「裁量免責」という制度があるためです。

すなわち、裁判所は、債務者に免責不許可事由が存在する場合であっても、、破産管財人の調査結果を参考に、債務者に関する一切の事情を総合考慮して、その裁量により、債務者の免責を例外的に許可することができるものとされており、この裁量免責の制度が実際の破産事件では広く活用されているのです。

3.FXによる借金が免責されるための注意点

裁量免責制度の存在により、現実には、免責が認められないケースは稀です。

しかし、免責されないケースが全く存在しないというわけではありません。
前述のとおり、裁量免責とは、あくまでも原則=免責不許可事由に対する例外という位置づけの制度であり、かつ裁判所の裁量で結論が決まるものですから、免責されるという保証はどこにもないのです。

反省の色を見せず、破産手続(管財人の調査)にも非協力的な態度でいると、管財人が免責不許可の意見を裁判所に出して、本当に自己破産が失敗してしまうかもしれません。

また、もし、2回目(以降)の破産の場合は、初回の破産の場合と比べて、免責を許可すべきか否かの判断のハードルが厳しくなることが予想されます。

どうしても免責不許可の見通しが高いと事前に考えられる場合は、個人再生や任意整理など、他の債務整理の方法による解決の可能性についても併せて検討すべきでしょう。

FXで借金をしてしまった方の場合は、以下の点が特に重要でしょう。

(1) 自己破産手続中にFXを再開しない

当然ではありますが、借金の原因であるFXからは、完全に足を洗いましょう

破産管財人は、家計簿をつけさせるなどして破産者の家計状況を把握し、定期的に面接もして、破産手続中の生活状況を確認します。

また、管財人は、自身の権限により、郵便物のチェックや銀行口座の照会なども可能です(郵便物に関しては、破産手続開始決定の時点より、管財人への転送手続が取られ、破産手続が終了するまでの間、本人には直接郵便物が届かなくなります)。
つまり、FXを再開したことは、到底隠し通せません。

裁量免責を得るには、自己破産するほどの借金をしてしまったことをしっかりと反省して、生活を更生する意思を見せなければなりません。

(2) 裁判所や破産管財人の指示に従い、説明や協力を惜しまない

いくら口で反省していますと言っても、それだけでは信用されません。信用されるには、行動が伴わなければなりません。
裁判所や破産管財人に対して、手続の進行やFXにより借金をした経緯につき、必要な協力や説明を誠心誠意、丁寧かつ迅速に行なって下さい。

もし、FX以外にも免責不許可事由があったとしても(例えば競馬・パチンコなど)、正直に事情を説明し、手続に誠実に協力をすれば、しっかりと反省していることを行動で示しているというプラスの評価に繋がります。

(3) 財産を隠さない

財産隠し」は、免責不許可となる可能性が高い、特に悪質な免責不許可事由です。破産詐欺罪という犯罪に当たり、刑事罰を受ける可能性もあります。

FXで借金を作ってしまった方は、他の自己破産の原因に比べると、比較的生活に余裕のある方が多く、また、相場の乱高下により突如として高額の請求をされてしまったという方もいるでしょうから、それなりの価値がある財産を持っていることがあります。

手持ちの財産の処分を免れようと、名義変更などにより財産を隠そうと考えてしまいがちですが、これは絶対に止めて下さい。

4.FXによる借金の整理は弁護士に相談を

FXによる借金でも、実際の自己破産のケースでは、ほとんどの場合で、最終的には免責が認められています。

「FXの借金は破産したところで絶対に免除されない」などという、ネット上の悪質な噂に惑わされないで下さい。

ただし、財産の状態を改竄したり、友人や親族等特定の債権者との間の借入・返済の事実を隠したり、何より、借金の原因となったFXに懲りずに手を出そうとすれば、つまり、裁判所や管財人から見て悪質あるいは不誠実な態度を取った場合には、借金が免除されないリスクがあることは事実です。

人生の再スタートを切るためにも、弁護士に全てを打ち明け、その助言に従って自己破産手続を進めましょう。

泉総合法律事務所では、自己破産などの債務整理により借金問題を解決した実績が多数ございます。FXが原因の借金についても解決した実績がありますので、お悩みの方は是非ともお気軽にご相談ください。

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