万引きでも逮捕される可能性があります!早めの弁護士相談を
「万引き」というと、軽いイタズラのように聞こえがちですが、実際は「窃盗罪」になる犯罪です。
「見つからなければ大丈夫」と考えている方や、「逮捕されることはない」と考えている方は、非常に甘い考えになっています。
繰り返し万引きを行えば、逮捕されることもあり、内容によっては裁判で実刑を課せられる可能性もあります。軽い犯罪と考えていると、大変な目に遭ってしまうかもしれません。
今回は、身近な犯罪としてとても多い「万引き」について解説いたします。
万引きで逮捕されるのはどんな時か、どのような犯罪を構成するのか、逮捕の流れや実刑の可能性はどの程度なのか、万引きを繰り返してしまう病気について見ていきます。
このコラムの目次
1.万引きで逮捕されることはあるか
まずは、万引きの検挙数を見ていきましょう。逮捕される可能性についてもご説明します。
(1) 最新版!万引き犯の平成29年度の犯罪件数
「万引き」と聞くと、未成年などの子どもが遊び半分で行う犯罪として認識されている方も多いのではないでしょうか?
実際のところ、万引きは、身体的にも精神的にも未発達な子どもが行う犯罪というわけではなく、大人も繰り返し犯しがちな犯罪です。
「お金に困っていたから」という金銭的な理由で犯罪を犯してしまう方もいますが、「スリルを求めて」犯罪に手を染めてしまう方もいらっしゃいます。何度も繰り返し行うことで止められなくなってしまう人も少なくありません。
最新の警視庁の統計によると、平成29年度は91万5042件の刑法犯が確認されています。このうち、窃盗犯は65万5498件でした。刑法犯のうち2/3以上が「物を盗む」犯罪であり、誰もが犯しがちな犯罪といえそうです。
そして、万引きの統計もあります。万引きは10万8009件と報告されており、犯罪種別では3番目に多い犯罪となっています。
この結果を見てわかる通り、かなり多くの万引き犯が認知されています。
スーパーなどで物を盗むという行為は、他の犯罪に比べ心理的ハードルも低く、身近な場所でできることから多い犯罪の1つとなっている可能性もあるでしょう。
一度成功すると、また同じことを繰り返してしまうのもこの犯罪の傾向です。常習性が高いとも一般的にいわれています。
このように、万引きはかなりメジャーな犯罪です。出来心で手を染めてしまうと、止められなくなる可能性もあるため、絶対に行ってはいけません。
(2) 万引きはいつか必ず逮捕されてしまうのか
「万引きなんて見つからなければ大丈夫。見つかってもお金を払えば終わりだろう」
このような考えをお持ちの場合は改めた方が良いでしょう。
実際の統計をみてみると、平成29年度の検挙数は7万5257件です。検挙率でみてみると、69.7%という結果が出ています。
この結果を見てわかる通り、万引きとして認知された犯人のうち7割は逮捕されているということです。
万引きはほとんどのケースで見つかります。繰り返し行えば、行うほど逮捕される危険は高くなると言えるでしょう。
確かに、万引きで見つかっても初犯であれば、お店の方の温情から「反省している」として商品のお金を支払えば逮捕されずに済むことも多いといえます。
しかし、「反省していない」と判断される、何度も見つかっているなどの場合は警察に通報されてしまいます。
また、最近では発見次第、警察に連絡するという厳しい対応をとる店も増えています。警察に連絡されると、現行犯逮捕で警察署に連れて行かれることになります。
万引きはほとんどのケースで捕まります。逮捕される可能性も昔より上昇していますので、甘い考えは改めるべきでしょう。
2.万引き犯で逮捕後はどうなる?
次に、万引き犯として逮捕された後の流れをご説明いたします。実刑の可能性についても見ていきましょう。
(1) 万引きで逮捕後の流れ
万引きで逮捕されてしまった場合のその後の流れをご説明します。
①万引きは現行犯逮捕が多い
お店で見つかった場合は、現行犯逮捕が行われることが多くなっています。
現行犯逮捕は、犯行を現認すれば私人でも行うことが可能です。そこから警察に連絡された後は、警察署に連行されることになります。
②警察にて取り調べ→検察へ装置
警察署では、取り調べが始まり「万引き」の態様や経緯、何回行ったかなどが聴取されます。
初犯で、被害金額が少ない場合はこの時点で微罪処分となり家に帰され事件終了となる場合がほとんどです。
しかし、被害金額が大きい、繰り返し犯行を行っていた場合などは、逮捕から48時間以内に検察へ送致されます。
検察では、同様に万引きの態様や余罪について聞かれ、24時間以内に勾留請求を行うかどうかが決定されます。
③逃亡の可能性等がある場合は勾留
万引きの場合は、勾留請求まで行われることは少なく、在宅起訴として処理されることが多いです。
在宅起訴ですと、条件付きで家に帰されることになります。または、この時点で不起訴が決定することもあります。
もっとも、被害金額が大きいケースなどで、罪証隠滅・逃亡の可能性があると判断された場合は、勾留請求が行われ最大で20日間勾留されることになるでしょう。
④起訴・不起訴の決定
勾留期間が満了する際、起訴・不起訴が決定します。
勾留が行われた段階で起訴の可能性は高くなっているといえるため、弁護活動が必要です。
起訴が行われれば、ほぼ100%の確率で有罪となります。
以上、逮捕後はこのような流れで進んでいきます。
(2) 「万引き犯」も実刑を受ける可能性はある
まず、万引き事件で起訴される事件はそれほど多くありません。窃盗事件全体で40%-50%程度のため、比較的軽い事件と言える万引きはこれ以下の数値となる可能性も高いでしょう。
①略式起訴→罰金が多い
そして、起訴されたとしても略式起訴となり、公判が開かれず、即罰金刑となる可能性は高いといえます。被害金額が少なく、初犯の場合はこのケースとなるでしょう。
もっとも、罰金刑であっても有罪は有罪です。前科はついてしまうことを覚えておいてください。
②常習犯は起訴の可能性が高い
正式起訴が行われるのは、何度も繰り返し犯行を行っているケースです。被害金額が大きい場合も可能性はあります。
実際に起訴されて懲役刑になるケースは、同一前科がある場合です。一度起訴され、有罪となっているのにも関わらずまた万引きを行ってしまった場合などは、懲役刑が科される可能性も高いでしょう。
③再犯は懲役の可能性も
万引きの場合、有罪となった場合は窃盗罪として起訴されるため、「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」(刑法235条)が課される可能性があります。
もっとも、万引きによる実刑の場合は10年の懲役が科されることは少なく、3年以下の懲役となるケースがほとんどでしょう。
このように、万引きでも実刑を受ける可能性はあります。再犯となると起訴され実刑の可能性も高まりますので、ご注意ください。
3.「万引き」は心の病気の可能性も
最後に、万引きと病気の関係性についてご説明します。
実は、繰り返し犯行を行ってしまうのは、治療な必要な病気の可能性があります。
(1) クレプトマニアという病気の可能性
「警察に捕まっても、万引きがやめられない」
そんな症状がある場合は、刑事事件として立件されるだけでは解決することができません。なぜなら、万引きという犯行の裏には、精神的な病気が隠れている可能性があるためです。
皆さんはクレプトマニアという精神疾患をご存知ですか?
日本語で窃盗癖を表す言葉であり、繰り返し万引きなどの窃盗を犯行を行ってしまう精神疾患です。自分では止めることができないのが、通常の窃盗行為との境目ということができます。
具体的には、以下のような症状がある場合はこの病気の可能性があります。
- 物が欲しくないのに万引きをしてしまう
- ストレスがたまると衝動的に万引きをしてしまう
- 万引きのスリルを味わいたい
- 数千円程度の万引きが多い
- 生活には困っていないのに万引きをしてしまう
この病気は、ストレスが原因の1つといわれています。
過度の心理的ストレスなどが原因で、その不満や不安を埋めるために「万引き」という犯行を繰り返してしまうのです。犯行時のスリルが快感になり、どんどんやめられなくなっていきます。
アルコール依存症やその他の依存症とも似た特徴があると言えます。
本当は「もうやりたくない」と考えているのに、犯行を犯してしまうという方は、この病気の可能性があります。
(2) 精神科や心療内科で診断を受ける
上述した特徴に心当たりがある方は、クレプトマニアにあたるかもしれません。
もっとも、実際にはきちんとした医師の診断を受ける必要があります。医師の診断の上、この病気にあたるかどうかを判断するようにしてください。
上記の病気ではなく、他の精神疾患の可能性もあります。専門的な医師の判断を優先するようにしてください。
もし、ご家族で上記のような症状をお持ちの方はいらっしゃる場合は、精神科や心療内科に一緒に付き添って病院へ行ってあげると良いでしょう。
上記のような精神疾患がある方は、心の中では「もうこんなことしたくない」と本気で考えている方も多いのです。
自責の念に駆られ追い詰められ、どうしたら良いかわからなくなっている方もいます。
警察に捕まっても、「なんでこんなことをするの?」と責め立てるのは逆効果です。
辛いことを抱えていないかなど、本人の気持ちに寄り添ってあげるようにしてください。そして、一緒に解決していこうと支えてあげる姿勢が大切です。
このように、万引き癖には精神疾患が隠れている可能性があります。しかし、病院で診断を受けることで、少しずつ更生することができます。
4.万引きで逮捕されたらできるだけ早く弁護士に連絡を
万引きで逮捕されたら、できるだけ早く弁護士にご連絡ください。
仮に逮捕後釈放されたとしても、そのまま放置しておくと罰金刑となり前科がついてしまう可能性も否定できません。逮捕の段階で、弁護活動を開始することが大切です。
また逮捕に至らず逃げ切ったケースでも安心はできません。後日逮捕が行われる可能性は常にあり、その際は起訴される可能性もあります。
不安がある場合は、できるだけ早めに弁護士に相談するようにしてください。
もし、窃盗依存の可能性がある場合は医師による治療が必要です。逮捕されてしまった場合でも、弁護活動により早期釈放を目指し、早期に治療を開始しましょう。
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