神奈川県川崎市で盗撮事件を起こしたら逮捕されてしまうのか?
出来心で盗撮を繰り返してしまい、逮捕される事例は少なくありません。
最近ではスマートフォンの普及に伴い、性犯罪事案でも盗撮が増加しています。
何かのストレスがきっかけで、盗撮行為に走ってしまい逮捕されてしまうというケースがよくあるのです。
神奈川県では、平成26年に盗撮に関する条例を改正して厳しく対処しています。
もし川崎市や近郊で盗撮事件を起こしてしまった方がいらっしゃる場合は、早めに弁護士にご相談ください。早めの対処で最小限の影響に止めるようにしましょう。
ここでは、盗撮行為の罪や罰則などの基本的な内容から逮捕後の流れ、盗撮事件の実刑確率や弁護士の選び方まで説明します。
このコラムの目次
1.盗撮とはどのような犯罪なのか
神奈川県では盗撮の条例を強化!
まずは、盗撮が主にどのような犯罪となるかを説明します。
また、川崎市のある神奈川県の盗撮に関する取り締まりの強化についても確認します。
(1) 盗撮行為に関する規定
盗撮行為は、迷惑防止条例違反として処罰される
皆さんは、盗撮に関する刑法上の罰則がないことはご存知でしょうか?
刑法上は、痴漢行為を罰する強制わいせつなどの罪は規定されていますが、盗撮に関連した条文はありません。現行の刑法が制定された当時は、盗撮は考えられない犯罪だったのかもしれません。
もっとも、盗撮行為を取り締まる直接的な法律がないのかというとそうではありません。
各都道府県が制定する迷惑行為等防止条例では、盗撮行為に関する規定が設けられています。
詳細な文言や罰則は、各自治体によって異なりますが、多くは以下のような内容となります。
東京都迷惑防止条例 5条1項2号、8条2項
「通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること」を禁止し、「一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する」。
駅や商業施設などで、公共の場所で盗撮行為を行った場合には、懲役刑か罰金刑が適用されてしまいます。
もっとも、この条例の多くには、抜け穴があることが発覚しました。「公共の場所」として限定しているため、トイレや更衣室などは適用できないという事例が頻発したのです。
これは神奈川県の条例でも同じ状態でした。
このように、盗撮行為があっても、迷惑防止条例では立件できないという問題が発生していたのです。
(2) 神奈川県の迷惑行為防止条例改正
「トイレ等の密室での盗撮行為は迷惑防止条例が適用できない」という問題は、数多くの自治体で発生しています。そして、これに対処すべく各自治体は条例を改正しています。
神奈川県では、平成26年に迷惑行為等防止条例を改正しました。
改正前、同条例3項2項2号では、「公共の場所等にいる人に対する痴漢や盗撮等の行為」のみを禁じていました。
しかし、平成26年の改正では、「何人も・・・住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服等の全部若しくは一部を着けないでいるような場所・・・にいる人の姿態を見、若しくはその映像を記録する目的で、写真機等を設置し、若しくは人に向けてはならない。」とし、公共の場所に限定せず自宅などの公共の場所以外の場所での撮影も罰することはできるようになったのです。
カメラを設置するだけでなく、エスカレーターなどで「カメラを向ける」行為も禁止しているのも特徴です。
仮に、逮捕され起訴された場合には、「6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金」(同条例11条1項1号)が課せられる可能性があります。
このように、神奈川県では盗撮行為に関しても厳しく処罰を行うように条文が改正されました。
懲役刑の可能性もある犯罪のため、軽い罪しか成立しない犯罪という認識は改めた方が良いでしょう。
2.盗撮で成立する罪と罰
盗撮で逮捕された際の流れは?
盗撮行為で成立する可能性のある犯罪は、迷惑防止条例違反だけではありません。他の罪についても確認します。また、逮捕後の流れもご説明します。
(1) 盗撮の罪
迷惑防止条例違反、軽犯罪法違反、住居侵入罪等
盗撮行為は迷惑防止条例にのみ違反するのではありません。他の法律も適用される可能性があります。
以下、どのような犯罪となるのか確認します。
①軽犯罪法違反
「公共の場所」以外で、盗撮行為を行った場合には、軽犯罪法の覗き見罪が成立します。
罰則としては、拘留または1万円未満の科料が規定されています。
仮に、神奈川県以外の場所で盗撮行為を行い、迷惑防止条例違反として立件されなかった場合にはこちらの法律が適用されます。
罰則が軽いため甘く考える方もいらっしゃいますが、逮捕され、拘留されると実生活にも影響が出てしまいます。
②住居・建造物侵入罪
他人の家や商業施設などで盗撮用のカメラを設置した場合には、住居または建造物侵入罪が成立する可能性があります。
こちらは刑法上の犯罪のため、「3年以下の懲役又は10万円以下の罰金」が課せられる可能性もある重罪です。
③民事の損害賠償請求
刑法上の犯罪ではありませんが、盗撮映像を売却したりインターネット上に流したりすると、名誉毀損で損害賠償請求が行われる可能性もあります。
そうでなくても、盗撮行為自体が不法行為にあたり精神的苦痛から損害賠償を請求されてもおかしくありません。
このように、盗撮行為はさまざまな法律違反となります。また罰則ではありませんが、被害者から損害賠償をされる事例もあるということも覚えておいてください。
(2) 盗撮事件の逮捕後の流れ
次に、盗撮事件の逮捕後の流れを見てきましょう。
①逮捕
現行犯逮捕 or 後日逮捕
盗撮事件で逮捕されるのは、現行犯逮捕という、実際に盗撮行為を現認して逮捕する事案がほとんどといわれています。
現行犯逮捕は、警察ではなく一般人であっても行うことができるため、被害者以外の人が見つけて指摘する・捕まえるというケースもあるようです。
しかし、現行犯逮捕ではなかった場合でも、後日逮捕という形で逮捕が行われることがあります。
盗撮行為が発覚して逃げ切った場合でも、防犯カメラの映像等から犯人の特徴を導き出し、別の日に逮捕という形です。
盗撮行為は何度も繰り替えし行われることが多く、捕まるまで繰り返してしまう方もいます。
②取り調べ→検察に送致→勾留請求→裁判→判決
現行犯逮捕であれ、後日逮捕であれその後の流れは基本的に同じです。
まずは警察署にいき、取り調べを受けます。
スマホの映像やカメラの映像など客観的な証拠がない場合はそのまま注意を受けて釈放されることもあります。
証言や証拠があれば、立件するために逮捕から48時間以内に検察に移送されます。
検察でも、検察官から余罪がないかなどのいくつかの聴取が行われ、身柄送致から24時間以内に勾留請求を行うかどうかが決定されます。
勾留請求が行われ、裁判所の判断にて決定が行われると最大で20日勾留されることになります。
この間に起訴するかどうかが決定され、起訴が決まった場合は裁判となります。
盗撮事件では、起訴されるとそのほとんどが有罪となってしまいます。
このため、勾留前の逮捕から72時間でできる限りの弁護活動を行うことが重要です。
3.不起訴とするための対処法
盗撮で実刑になる?
最後に、盗撮で実刑になるのか、不起訴にするためにはどうしたらよいのかをお伝えします。
(1) 盗撮で懲役刑になるケースは少ない
「盗撮で逮捕されました。実刑になる確率はどのくらいですか?」
実際のところ、盗撮で逮捕されてどのくらいの割合で実刑になっているのかは分かりません。
しかし、一般的には余罪がなく、初犯である場合は逮捕されても実刑になるケースは少ないといえます。
多くの事件では、よほど悪質と言えない限り、不起訴となるか執行猶予判決が下されるでしょう。
もっとも、盗撮で何度も逮捕されているという常習犯のケースや、性犯罪関連で同種前科が多数あるような場合では、実刑を受けることもあります。
一度起訴され、執行猶予処分となっている場合は、懲役刑が下される確率も高くなるでしょう。
このように、盗撮事件では初犯でいきなり実刑となるケースは通常はありません。
よほど悪質である場合、常習である場合、同種前科がある場合、執行猶予中の場合は厳しい判決が下されることもあります。
(2) 被害者との示談が必要不可欠!
「盗撮事件の場合、いつ弁護士に相談したら良いのでしょうか?」
答えは、ズバリ「できるだけ早く」ということになります。
逮捕後の流れでもご説明した通り、刑事事件は手続きが早く進んでいきます。逮捕されたらすぐにでも、逮捕されていなくとも不安がある場合は、すぐに弁護士に相談してください。
また、早期釈放や不起訴をお望みなら、被害者との示談を成立させることが非常に重要です。
逮捕後でも、示談をまとめることができれば、十分に反省しているとしてすぐに釈放されるケースがあります。
逆にいうと、示談が成立しなければ、盗撮の客観的証拠がある場合は不起訴に持ち込むのが難しい事案もあります。初犯であっても悪質と判断されれば、起訴され罰金刑となる可能性も否定できません。
仮に、示談がスムーズにまとまらない場合でも、弁護士が早期釈放に向けて書類を警察に提出することで釈放されることもあります。
ちなみに、不起訴となれば前科はつきませんが、執行猶予判決の場合は前科がついてしまいます。
このように、盗撮事件を起こしてしまった場合にはできるだけ早く弁護士に相談することが大切です。
示談を成立させ、不起訴を目指すことで生活への影響を最小限にとどめることができます。
4.刑事事件の弁護はスピードと実績が大事
盗撮事件を起こしてしまった場合、できるだけ早く法律事務所や弁護士に相談すべきです。
説明した通り、逮捕されていない場合でも後日逮捕されるケースはあります。
できるだけ早く専門家である弁護士に相談することで将来への影響を少なくしましょう。
また、盗撮行為は常習性のある犯罪です。何度も繰り返しているうちに「やめられなくなってしまった」という方も多いのが実情です。繰り返すと逮捕される可能性は高くなります。
本当はやめたいと考えているなら、1人では難しいかもしれません。周囲のサポートや法律の専門家である弁護士のサポートを受けて下さい。
泉総合法律事務所は、刑事事件も数多くご相談頂いております。刑事弁護はスピードと実績が重要です。
盗撮事案でも数多くの実績がある泉総合法律事務所なら、事件の内容に合わせて最適な弁護活動を行うことができます。一緒に不起訴を目指しましょう。
盗撮事件に関連して、何か不安等がある場合は、泉総合法律事務所へお気軽にご相談ください。弁護士が全力でサポートいたします。
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