交通事故

交通事故が多い川崎市において事故被害者になってしまった場合の対応

交通事故が多い川崎市において事故被害者になってしまった場合の対応

川崎市は、神奈川県の北東に位置する政令指定都市です。川崎区、幸区、中原区、高津区、宮前区、多摩区、麻生区の7つの行政区を持ち、東京のベッドタウンとしての性格が強い地域です。

この記事では、川崎市の交通事故事情と事故の被害者が気をつけるべきことについて解説いたします。

1.川崎市の交通事故の発生件数

過去5年間の川崎市における交通事故の発生件数は、以下のとおりです。

  • 平成29年 3,634件
  • 平成28年 3,218件
  • 平成27年 3,328件
  • 平成26年 3,696件
  • 平成25年 3,915件

死者数は以下のとおりとなっています。

  • 平成29年 20人
  • 平成28年 17人
  • 平成27年 20人
  • 平成26年 28人
  • 平成25年 21人

負傷者数は以下のとおりとなっています。

  • 平成29年 4,160人
  • 平成28年 3,680人
  • 平成27年 3,867人
  • 平成26年 4,216人
  • 平成25年 4,502人

このように、近年、交通事故の発生件数は減少傾向にありましたが、平成29年には前年から400件以上増加し、負傷者数も3年ぶりに4,000人を超えました。

また、死者数も増減を繰り返していることからも、けして油断できる状況ではありません。

平成29年の交通事故の発生件数を行政区別にみると以下のようになります。

  • 川崎区 764件
  • 幸区 415件
  • 中原区 398件
  • 高津区 466件
  • 宮前区 607件
  • 多摩区 543件
  • 麻生区 441件

川崎市7区の人口は、多い順に、中原区、宮前区、高津区、川崎区、多摩区、麻生区、幸区となっています。

人口が多い区ほど交通事故が多く発生しているわけではなく、川崎区は交通事故の発生率が高く、中原区は低いことがわかります。

川崎区の交通事故発生率が高いのは、市の中枢機能が集中し、人口密度が高く交通量が多いことが背景にあると考えられます

【参考】川崎市ホームページ「過去5年間の交通事故発生状況(川崎市内)平成25年から平成29年

2.交通事故に遭ったらどうするべきか

「まさか自分が交通事故にあうとは想像もしていなかった」という方は少なくありません。いざ交通事故にあうとパニックになってしまい、どうしていいかわからなくなってしまうでしょう。

万が一交通事故に巻き込まれてしまった場合、何をするべきかあらかじめ知っておくことで、冷静に対応することができます。

続いて、交通事故にあったときの対応について解説します。

(1) けが人の救護

交通事故にあったら、まずはけが人の救護を最優先にしてください。けが人の救護は道路交通法において運転者の義務とされており、これを怠ると罰則が科されます。

事故の直後は興奮していてすぐには自覚症状が出ないことがありますので、クリープ現象による追突やミラー同士の接触といった軽微な事故ではない限り救急車を呼んだ方がよいでしょう。

事故直後に治療を受けることは、事故により負ったけがを治すためにはもちろん、後で保険会社に対して示談金を請求するためにも重要になります。

(2) 警察に連絡

どんな軽微な交通事故であっても、必ず警察に連絡をしてください。

警察への連絡もけが人の救護と同様に道路交通法で運転者の義務とされています。警察に連絡をしないと、保険会社に示談金を請求するために必要な書類を作成してもらえない場合があります。

なお、その地域を管轄する警察署をわざわざ調べる必要はなく、110番にかければ問題ありません。

また、すでに消防に連絡している場合には消防から警察に連絡が届きますので、改めて警察に連絡する必要はありません。

(3) 現場検証

警察に連絡すると、通常は10分程度で警察官が事故現場に到着し、現場検証が行われます。

現場検証では各当事者に対し事故の状況について聴取が行われますので、自分が認識していることを正確に警察官に伝えましょう。

(4) 証拠の保全

のちのち過失割合などで争いが生じたときに備えて、事故の客観的な状況を示す証拠をできる限り残しておきましょう。

例えば、自分の車と相手方の車の損傷箇所、事故現場の状況、路面に残されたブレーキ痕など、写真に撮って記録しておくと良いです。また、交通事故を目撃した人がいる場合は、連絡先を交換しておくとよいでしょう。

車にドライブレコーダーを付けて場合は、そのままにしておくと上書き保存されてしまう可能性があるので、データを保存しておきましょう。

(5) 相手方と連絡先を交換

事故の相手方とは連絡先を交換しましょう。

事故後に保険会社同士で交渉が行われますので、最低限、氏名と電話番号は聞いておく必要があります。

余裕があれば、住所、車のナンバー、加入している保険会社と証券番号などを交換しておくと、のちの手続がスムーズに進みます。

(6) 保険会社に連絡

最後に、保険会社に連絡をしてください。

保険会社に連絡すると、担当者からけが人の有無、相手方の氏名や連絡先等を尋ねられ、そこから相手方との示談交渉が始まります。

3.相手方保険会社との示談交渉

続いて、相手方の保険会社との交渉を有利に進める方法について解説します。

(1) 交通事故の被害にあったときは示談金を請求できる

不幸にも交通事故の被害にあってけがを負ったときは、相手方の保険会社に対して治療費や慰謝料を請求することができます。

事故後、しばらくの間は相手方の保険会社から治療費の立替を受けることができますが、しばらくすると治療を打ち切る旨の通知が届き、示談に応じるように求められます。治療が打ち切られた段階から、相手方との示談交渉が始まります。

相手方の保険会社が提示してくる示談金の金額は、適正な金額ではないことがほとんどです。

しかし、保険会社の要求どおりに示談に応じてしまうと、基本的にやり直すことはできませんので注意が必要です。

(2) 弁護士に依頼するだけで示談金を増額できる理由

では、相手方の保険会社から適正な示談金を受け取るためにはどうすればよいのでしょうか。

結論を先にいうと、弁護士に保険会社との交渉を依頼することによって、示談金の金額を大幅に増額することができます。

「交通事故で弁護士なんて大げさではないか」と思われるかもしれません。しかし、受けた損害に見合う示談金を受け取るためには弁護士の介入が不可欠なのです。

以下、その理由についてご説明します。

①交通事故の示談金の3つの基準

まず、相手方の保険会社が提示してくる示談金はどのような基準で算定されているかをご説明します。

交通事故の示談金には3つの基準があると言われています。それは「自賠責の基準」、「保険会社の基準」、「裁判基準」です。

自賠責の基準とは、交通事故被害者に最低限の補償をするための自賠責保険で定められている基準です。

自賠責の基準は3つの基準のなかでもっとも低額で、たとえば後遺障害等級14級での支払い上限額は75万円とされています。

保険会社の基準とは、各保険会社が社内で定めている基準です。交通事故被害者に提示される金額はこの基準に基づいています。保険会社の基準は自賠責の基準より高額ですが、裁判基準には及びません。

3つの基準のなかでもっとも高額なのが裁判基準です。裁判基準とは交通事故に関する過去の裁判の蓄積によって形成された基準で、「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」という本(通称、「赤い本」)にまとめられています。

②弁護士に依頼すると裁判基準で交渉できる

弁護士に依頼することによって保険会社から受け取る示談金を増額することができるのは、弁護士が代理人として介入することで裁判基準を前提とした交渉が可能になるからです。

被害者本人が直接交渉をしている間は、保険会社の基準を大きく上回る内容で合意をすることはほぼ不可能です。

4.交通事故慰謝料と診断書

他にも、確実に慰謝料の増額を実現するためにはいくつかのポイントがあります。

(1) 慰謝料の増額には医師の診断書が重要

たとえば、交通事故でけがを負うと慰謝料を請求することができますが、このときには医師に診断書を作成してもらう必要があります。

特に交通事故によって後遺障害を負ってしまい、後遺障害慰謝料を受け取るためには、医師の診断書に基づいて後遺障害認定を受けられるかどうかが極めて重要です。

事故から時間が経つと事故とけがとの因果関係を否定されてしまうおそれがありますので、事故後なるべく早く医師の診察を受けて必要な検査を受けておきましょう。

後遺障害認定を受けるためには、固定した症状について記載された後遺障害診断書を作成してもらう必要があります。

注意が必要なのは、整骨院や接骨院ではなく整形外科に通院することです。整骨院や接骨院を運営しているのは医師ではなく柔道整復師ですので、診断書を作成してもらうことができません。

もちろん病院と整骨院や接骨院に通うこと自体は問題ありませんが、その場合は必ず医師に相談し、病院と併用するようにしましょう。

(2) 診断書の内容

また、確実に後遺障害認定を受けるためには、診断書に記載してもらう内容が重要です。

患者の申告による自覚症状だけでなく、検査による客観的な他覚症状(他覚所見、他覚的所見ともいいます)について記載してもらうことが大切です。ところが、医師は治療の専門家ではありますが後遺障害認定の専門家ではありません。

交通事故事件に精通した弁護士に依頼することで、後遺障害診断書に記載してもらうべき内容についてアドバイスをもらうことができます。

5.弁護士費用

このように、交通事故によってけがを負ったときには弁護士に依頼をすることによって示談金を大幅に増額することが可能です。

弁護士に依頼すると多額の費用がかかるのではないか、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、交通事故被害者が弁護士に依頼する場合、増額分より弁護士費用の方がかさみ「費用倒れ」になってしまうことはほとんどありません。

たいていの場合は増額分の一部を弁護士費用として支払い、差額分を受け取ることになります。どれだけ増額できる見込みがあるかは依頼する前に弁護士に確認するとよいでしょう。

また、任意保険で弁護士費用特約に加入している場合には負担ゼロで弁護士に依頼することができます。弁護士費用特約とは、自動車に関する事故にあったときに弁護士に依頼する費用を保険会社が負担してくれるものです。

事故にあった本人が弁護士費用特約に入っていなくても、家族が加入している弁護士費用特約を利用できることがありますので、家族や保険会社に確認してみるとよいでしょう。

6.川崎市を管轄する警察署

交通事故は、事故の発生現場を管轄する警察署が担当します。事故にあって保険金を請求するときには、事故証明書の取得など、警察署の交通課に連絡しなければいけないことがあります。

川崎市は、神奈川県警の川崎警察署、川崎臨港警察署、幸警察署、中原警察署、高津警察署、多摩警察署、宮前警察署、麻生警察署という8つの警察署が管轄しています。

これらの警察署の警察機能を総括しているのは、中原警察署と同じ場所にある川崎市警察部です。

7.川崎市で交通事故に遭ってしまった方は弁護士に相談を

以上のように、弁護士に依頼すると、事故発生から解決まで様々なサポートを受けられます。

川崎市、大田区、京浜東北線・東海道線・京急線・南武線沿線にお住まい、お勤めの方は、地域に根付いた弁護士事務所である泉総合法律事務所川崎支店に是非一度ご相談ください。

初回のご相談は1時間まで無料で承っております。

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