不倫慰謝料

川崎市の離婚・不倫事情と、不倫慰謝料問題に直面した際の注意点

川崎市の離婚・不倫事情と、不倫慰謝料問題に直面した際の注意点

川崎市は、神奈川県の北東に位置する政令指定都市です。人口は150万人を超え、7つの政令区に分けられています。県庁所在地以外の政令指定都市では全国で最多の人口を誇ります。

この時期では、川崎市の離婚事情と慰謝料請求について解説いたします。

1.川崎市の離婚事情

平成27年には、川崎市で2,564組の夫婦が離婚しました。婚姻数は10,324件でしたので、4組に1組の夫婦が離婚している計算となります。

過去10年の離婚件数は以下のとおりです。

  • 平成18年 2,944件
  • 平成19年 2,880件
  • 平成20年 2,816件
  • 平成21年 2,713件
  • 平成22年 2,851件
  • 平成23年 2,512件
  • 平成24年 2,558件
  • 平成25年 2,529件
  • 平成26年 2,509件
  • 平成27年 2,564件

このように、離婚の件数はやや減少傾向にはあるものの、ここ数年横ばいとなっています。

2.夫婦と離婚

(1) どのようなときに離婚できるか(離婚事由)

男女が結婚して夫婦になると、お互いの間にさまざまな権利や義務が生じます。

婚姻によって生じる義務として、民法に定められているのは、同居してお互いに協力しあう義務(同居・扶助義務)、婚姻から生じる費用を分担する義務(婚姻費用分担義務)、日常の家事に関して負担した債務を連帯して支払う義務(日常家事債務の連帯義務)、未成年の子どもを監護する義務(未成年の子の監護義務)などです。

夫婦の一方がこれらの義務を怠ったときや、義務を履行することが不可能になってしまった場合、もう一方の当事者は裁判所に訴えを提起し、裁判手続によって離婚を成立させることができます。

離婚の訴えを提起することができる事由を離婚事由といいます。

民法に定められている離婚事由は次の5つです。

  • 配偶者に不貞な行為があったとき。
  • 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
  • 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
  • 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
  • その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

離婚事由は、夫婦の一方が離婚を拒絶していたとしても一方的に離婚を成立させることができる事由をいいますので、離婚をすることに双方の当事者が合意していれば離婚事由に当てはまらなくても離婚することは可能です。

(2) 協議離婚の手続

合意によって離婚する場合には、市区町村に離婚届を提出すれば済みます。

川崎市では、各区役所区民課や支所区民センターにある離婚届に必要事項を記入し、離婚する二人の印鑑を押印して届出人の本籍地、または住所地の区役所区民課、支所区民センター提出します。届出の際には、届出人の本人確認のため、本人であることを証明する書類(運転免許証やパスポートなど)が必要となります。

離婚届には、成年の証人2人の署名押印が必要です。本籍地が川崎市外にある場合には戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)が必要となります。

(3) 裁判離婚の手続

裁判によって離婚する場合には、まず家庭裁判所に対して離婚裁判の訴えを提起します。

川崎市の管轄しているのは横浜家庭裁判所の川崎支部です。横浜家庭裁判所川崎支部の連絡先は以下のとおりです。

横浜家庭裁判所川崎支部
〒210-8537 神奈川県川崎市川崎区富士見1-1-3
(JR川崎駅から教育文化会館までバス約10分・徒歩1分,京浜急行川崎駅から徒歩約10分)
代表:044-222-1315

離婚事由が認められ、判決が確定したら、裁判が確定した日から10日以内に届出人の本籍地、または住所地の区役所区民課、支所区民センターに離婚届を提出します。

この場合は配偶者の署名や押印は必要となりませんが、申立人の印鑑と本人確認書類、本籍地が川崎市外にある場合には戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)が必要なのは協議離婚の場合と同様です。

判決離婚のときは判決の謄本と確定証明書、調停離婚のときは調停調書の謄本、審判離婚のときは審判書の謄本と確定証明書、和解・認諾離婚のときは和解・認諾の調書の謄本を併せて提出します。

3.不倫慰謝料の請求

(1) 夫婦の義務と不倫

上記の通り、離婚事由の一つ目に挙げられているのが不貞行為、いわゆる不倫です。続いて、不倫慰謝料について詳しく説明します。

夫婦は、配偶者以外と不倫をしてはいけないという義務を負うとされており、これを貞操義務といいます。貞操義務は民法に夫婦の義務として明文化されてはいませんが、これを怠ると離婚事由になるので夫婦の義務の一つと解されています。

たとえば、妻が夫以外の男性と肉体関係を持ったとき、夫は妻に対して離婚の訴えを提起し、裁判手続による離婚を成立させることができます。不倫を行った確固たる証拠があれば、裁判を行うまでもなく交渉によって離婚の合意が成立することも多いです。

(2) 不倫をした相手には慰謝料請求できる

配偶者が不倫をしたとき、貞操権を侵害された配偶者は、それによって生じた精神的損害に対する慰謝料を請求することができます。

慰謝料は配偶者のみに請求しても、不倫の相手方のみに請求しても、その両方に請求しても構いません。ただし、両方に請求する場合に請求できる金額は精神的損害の範囲に限られ、双方からの「二重取り」は認められません。

夫婦は財産を一緒に管理していることが多いため、婚姻関係を継続する場合は不貞の相手方のみに請求するのが一般的です。

(3) 不倫慰謝料を請求するには

では、不倫による慰謝料を請求するにはどうすればよいのでしょうか。

不倫慰謝料請求をするときには、不倫相手に対して内容証明郵便などを送付して支払いを求めます。相手が不倫を認めて任意の支払いに応じてくることもありますが、不倫の事実や慰謝料の金額を争ってくることもあります。その場合は交渉を行う必要があります。交渉がまとまらない場合は、裁判所で訴訟を行う場合もあります。

(4) もっとも重要なのは証拠の収集

不貞を理由に慰謝料を請求するためには、不貞行為があったということを示す証拠を押さえておくことが何よりも重要です。「いつも帰り遅い」「知らない女性から着信があった」というだけでは不倫とは認められません。

また、二人で食事に行った、手をつないだ、キスをしたというだけでも不倫にはなりません。

不倫の証拠の例としては、二人でラブホテルに入っていく写真や映像や、性行為があったことを示すメールのやりとりなどが挙げられます。

マンションやビジネスホテルの場合は「相談を聞いていた」「仕事の打ち合わせをしていた」という反論をされる場合がありますので、ラブホテルの場合よりも証拠としての価値が低くなりますが、頻繁に出入りしている場合や二人きりでいた時間が長時間にわたる場合には十分に証拠として認められる可能性があります。

メールのやりとりの場合、「昨日は楽しかったね」「また会いたい」という程度の内容では証拠として弱いでしょう。

肉体行為があったという動かぬ証拠を押さえることによって、交渉を有利に進めることができます。

4.不倫慰謝料を請求されたら

逆に、不倫慰謝料を請求されたらどうすればよいのでしょうか。

相手方に不倫が発覚したときには、ある日突然相手方の代理人弁護士から内容証明郵便が届くこともありますし、弁護士を通さずに電話やメールで連絡が届く場合もあります。いずれにしても、相手方から不倫慰謝料の支払いを求められたとしてもすぐに応じる必要はありません。

弁護士の名義で内容証明郵便に「〇月〇日までにいくら支払え」とあると、支払わなければ違法となるのではないかと思われるかもしれませんが、相手方が主張する支払い期限や金額は法的拘束力があるものではありません。

まずはどのような反論が可能か、冷静に考えましょう。

(1)  相手方の証拠は十分か

まず考えるべきなのは、相手方の主張の根拠となっている不倫の証拠が十分なものかどうかです。

会って食事をしただけ、あるいは手をつないだ証拠があるだけであるにもかかわらず、相手方が感情的になって不倫があったと主張してきている場合には、証拠が不十分であることを反論しましょう。

相手方も裁判を起こしたら負ける可能性が高いとわかっていれば、強気の交渉を行うことはできません。

(2) 慰謝料の金額は適正か

不倫が事実であり、相手方が動かぬ証拠を持っているとしても、請求された金額に全面的に応じる必要はありません。たいていの場合、慰謝料を請求するときには交渉に進展することを想定して相場よりも高い金額を請求します。

そこで、不倫の事実は認めたうえで、金額の交渉を行いましょう。多くの場合、相手方の主張とこちらの主張の中間の金額で示談が成立します。

5. 不倫慰謝料の相場

では、不倫慰謝料の相場はいくら程度なのでしょうか。

実は、不倫慰謝料には明確な基準がありません。多くの場合、不倫によって夫婦が別居することになったかどうか、離婚することになったかによって相場が変わります。

不倫が発覚したあとも別居せずに夫婦関係を継続する場合には50万円から100万円程度、不倫が原因で別居に至った場合は100万円から200万円程度、不倫が原因で離婚に至った場合は200万円から300万円程度がおおよその相場ですが、交際期間、不倫の回数、子どもの有無によっても増減します。

6.不倫慰謝料請求は弁護士に相談する

このように、不倫の慰謝料を請求する場合、または請求された場合の対応にはいくつか重要なポイントがあります。

「不倫が発覚してつい感情的になり、証拠が不十分なまま請求や交渉を行ってしまい、本来受け取ることができた慰謝料を受け取れなかった」、あるいは「何もわからずに相手方の請求どおりに支払ってしまった」といったことにならないよう、まずは法律の専門家である弁護士に相談しましょう。

弁護士は多くの離婚事件や不倫慰謝料請求事件を取り扱っていますので、証拠の集め方、請求の方法、反論の方法などについて適切にアドバイスをしてくれます。

また、不倫慰謝料請求の場合、相手方との交渉は精神的に辛いこともあることでしょう。弁護士に依頼することで、交渉を全て任せることができ、精神的な負担を軽くすることができます。

川崎市、大田区、京浜東北線・東海道線・京急線・南武線沿線にお住まい、お勤めの方は、泉総合法律事務所川崎支店の弁護士に是非一度ご相談ください。

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