会社の資金繰りが上手くいかず銀行融資を返せなくなってしまったら?
会社経営をするにあたり銀行から融資を受けている方は多いと思いますが、資金繰りが悪化して借金を返せなくなったときはどうしたら良いのでしょうか?
ここでは、会社で借りていた融資金が返せなくなってしまった場合にするべきことを解説します。
このコラムの目次
1.会社の借金が返せない
会社経営を一定の規模以上で行っている場合、大半の経営者は銀行から借り入れをしています。中には銀行から数千万~数億単位で融資を受けていることもあります。
経営が順調にいっているときは問題ありません。しかし、一度悪化すると返済ができなくなります。
負債を返済できない状況が続くと、やがて信用情報機関に事故情報が登録され、銀行取引は停止となり、最終的に差し押さえに発展します。その場合、会社はたたむしかありません。
しかし、状況が悪化する前に手を打てば倒産を回避することも可能です。
返済できないときにはどのような対策を立てればよいのでしょうか?
2.最初にリスケジュールを検討
銀行からの借入の返済ができないとき、これまで滞納なく支払っており、かつ当面の難局を乗り越えれば返済ができる見込みがある場合は、追加融資を申し込むことをおすすめします。
しかし、この先も返済が危ういと思った場合、「リスケジュール(reschedule)」を検討しましょう。
リスケジュールは計画を立て直すという意味で、略してリスケと言われることもあります。リスケジュールをすると、返済の予定を一定期間延ばすことができるので、経営の安定化を図る上では欠かせない戦略の1つです。
リスケジュールを希望する場合は銀行と直接話し合います。
申し込むタイミングは、従来通りの返済が難しくなってきたときで、できるだけ早めに交渉することが鍵になります。
返済が難しいかどうか判断するには、直近3ヶ月位のお金の流れを見て、この状態が続いた場合に将来的に返済ができないと思えば相談をするのが良いでしょう。
返済できるのかできないのか現状把握ができていない状態のまま放置して、いよいよ経営が厳しい状況になってから動くのは非常に危険です。
もし状況判断ができない場合は、弁護士に相談することで適切なアドバイスを受けることができるでしょう。
(1) リスケが認められなかった場合
銀行にリスケを交渉しても認められないこともあります。
リスケが認められないケースとしては、書類作成をしていない、経営計画改善書の実現可能性が低い、他行のリスケをせず自行のみリスケをする(リスケは他行一律同条件が前提)といったことが考えられます。
リスケを断られた原因となっていることをクリアできれば、次回は認めてもらえる可能性はあるので、万が一断られた場合は、対策を練り直さなければなりません。
もし、リスケが認められず支払いに行き詰った場合は、代位弁済がなされて信用保証協会から請求を受けたり、サービサーから督促を受けたりすることになります。
(2) 資金繰りの方法
リスケが認められそうもないときには、別の資金繰りの方法を考える必要があります。
経営が行き詰った段階でも資金準備できそうな方法を以下で紹介します。
①日本政策金融公庫の融資を利用する
一般的な銀行から融資を受けている場合で、リスケが認められない場合は、政府系の日本政策金融公庫の事業者を対象とした融資に乗り換えることを検討しましょう。
日本政策金融公庫は事業が悪化した場合に融資できる商品もあり、民間の業者向けのローンより借りやすいので、事業者にとっては有り難い存在です。
商工会議所の会員になっている場合は審査に通りやすいですが、商工会議所の会員でなくても融資を受けることは可能です。
ただし、審査には一定の時間がかかるため、即日融資をして欲しい場合は不向きです。よって、日本政策金融公庫に融資については、日程に余裕を持って申し込むことをお勧めします。
②ファクタリングで売掛金を買い取ってもらう
ファクタリングとは、会社の売掛金をファクタリングの会社に売却することで、売掛金の回収期限よりも前に現金化して資金を手にできるサービスです。
この方法をとることで、本来の回収日より前に資金繰りをすることが可能になります。
それなら自社で売掛金を回収すればいいのでは?と考える人もいると思いますが、期限よりも前に売掛金の回収をすると、十中八九資金繰りが悪化していると思われるので、信用問題に発展してしまいます。
しかし、ファクタリング会社を利用すればその心配はないので、近年は利用者も大幅に増えています。中にはネットで審査してくれる会社もあるので、急いでいるときにも便利です。
③事業者向けのおまとめローンを利用する
借金を複数社からしている場合は、事業者向けおまとめローンを利用する手もあります。
一般的なおまとめローンは収入が不安定な自営業者は審査に通りにくいのですが、事業者向けの商品であれば審査に通る可能性も高くなります。
もし利息の高い複数の業者から借りている場合、銀行のおまとめローンに一本化すれば金利も安くなる可能性が高いでしょう。
(3) 債務整理をする
上記の方法を試しても資金繰りができなかった場合は債務整理を検討します。
法人の債務整理は任意整理、民事再生、法人破産があり、状況に応じていずれかを選ぶことになります。
①任意整理
法人も個人と同様に任意整理することができます。
代理人を通じて債権者と返済条件について交渉する他、裁判所に調停を申し立て、債権者と話し合う方法があります。
任意整理後は減額後の負債を計画通りに支払うことになります。
②民事再生
民事再生は再生型の倒産処理で、負債を大幅に減らし、再生計画に基づいて経営を立て直すことができる制度です。ただし、民事再生の認可は債権者が同意することが前提となります。
民事再生認可後は再生計画通りに残債を返済していきます。
③法人破産
法人破産をすると借金は全額なくなります。資金繰りの目途がたたず事業継続ができない場合に選択されます。
3.資金繰りができなければ法人破産
(1) 法人破産の流れ
法人破産は清算型の倒産処理で、負債を返済することができず、将来的にも資金繰りの目途が立たないときに選択します。
破産をすれば会社をたたむことになりますが、以後は借金を返す必要はありません。
破産をすると決めたら、最初に弁護士に依頼をして、会社の残務整理を行い、従業員を解雇します。
未払い給与がある場合には従業員も債権者となりますが、給与については一般債権より優先的に支払われます。また、独立行政法人労働者健康安全機構の未払賃金立替制度などもあるので、破産による従業員への影響が心配な場合は、その点も含めて弁護士に相談をしましょう。
その後、必要な書類が準備でき次第、裁判所に申し立てを行います。
法人の破産手続きは管財事件として扱われるので、破産手続開始決定後に破産管財人が選任されます。会社の財産は全て破産管財人の手に渡るので、その後は会社経営者が財産を自由に扱うことはできません。
破産手続開始決定後に債権者集会が開かれ、破産に至った経緯や資産報告、などが行われます。また、会社に財産がある場合、管財人が換価処分を行い、債権者に配当を行います。
配当が終わった段階で破産手続きは終結し、法人格も消滅します。法人格の消滅に伴い債務自体が消えるので、法人破産にはそもそも免責制度はないということになります。
(2) 資金に余裕があるときに法人破産に踏み切るべき
法人破産をするときは、できる限り資金に余裕があるときに手続きに踏み切ることが鍵となります。
なぜなら、法人破産にも費用がかかるので、資産が全くない状況に陥ると、経営者の個人資産の持ち出しとなり、それもできない場合は破産手続きをすることすらできなくなるからです。
資金に余裕がある状態とは、今後1ヶ月は会社を通常営業できる資金がある状態だと考えて下さい。
なお、資産がないと思っても、弁護士に相談をすることで、決算書を確認し、会社内に換金可能な資産を見つけることができれば、それで費用を調達することも可能です。
4.法人破産は余裕のあるうちに弁護士に相談を
銀行の借金が返せない場合は、最初にリスケジュールの相談をすることをおすすめしますが、その他の方法を含めても資金繰りができない場合は法人破産をすることになります。
法人破産をすると会社は消滅するので、借金返済をする必要がなくなりますが、破産をするにも費用がいるので、資金に余裕があるときに手続きをする必要があります。
泉総合法律事務所は法人破産の実績も豊富にございますので、早めにご相談頂ければ最善の解決方法をご提案させて頂くことができます。
相談は無料で行っておりますので、お困りのことがあればお気軽にご連絡下さい。
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